つまり、一部のヘビーユーザーの嗜好が強く反映されすぎると、新規ユーザーの開拓が阻害されるかもしれない。

それならば、ヘビーユーザーの嗜好を運営が否定していいのか。

否定していいはずがないし、少なくともはてなはやらないだろう。このまま流れに身を任せるだろう。その結果このようなエントリーだらけになってしまったら、さすがにライブドアクリップやdeliciousにユーザーが流れると思う。
運営の手でCGMサイトにおけるヘビーユーザーの影響力を薄める行為の是非が問われているのかもしれない。
SBMのゆくえ 〜運営がヘビーユーザーの影響力を薄めるべきか〜 - Core

クリップに流れてきてくれる分には俺としては嬉しいけど、それはまぁそれとして、ちょっと思うところがあったので色々考えてたらまとまらなくなったので書きながら考えることにする。

偏って欲しいわけはない

本気で「集合知」だとか「Web 2.0メディア」だとかを掲げて、新しいメディアの形なんですって方針でビジネスをやるんだとしたら、今の状態はどう見たってアリかナシかでいうとナシだろう。大体いつ見ても、はてブでは揉め事や増田の記事が目に付くし、クリップなら2ちゃんまとめが結構な頻度で上がってくるし、どこのSBMでもPHPだCSSだPhotoshopだギークだアルファブロガーだライフハックだ、って記事が上がってきやすい。もちろんそれだけじゃないけど、偏りがあるのは事実だ。で、友達にそれだけ見せて「これ何が面白いの?」って聞かれたら上手く説明する自信がないし、ましてやばーちゃんに、親父に、妹に、勧められるかと問われたら難しい。

なぜそうなのかは、もう仕組み上そうだからとしか言いようがない。ある種類の人々に特に好かれるサービスだから、放っておけば勝手に特定の傾向に偏り始めるし、またその手の人々に影響されやすい人やランキングを見た人がそのランキングを補強し、そうして出来た偏りのあるランキングに魅かれてやってきた人ってのもまた同じような偏りのあるポストをする。そうして繰り返し補強される偏りのスパイラル。フォークソノミー的なものの実験としてはSBMは失敗だったと見ていいと思う。

加えて、スパム業者という連中は貪欲で、そこに露出する場があると見るとどんなとこにでもやってくる。お前らほんともういい加減にせーよってくらいあの手この手でランキングを操作しようと頑張ってる。いかがわしい商品を売り付けようとする奴らもそうだけど、最近だとSEOだなんだって言って顧客をそそのかしてツールを売り付けたりゴミPOSTでPVを稼いでほら効果がでましたよ、なんてやってるろくでもないのがいたりして、日々そういうのを相手にしてるとなんだかやりきれない気持ちになってくる。

結局、放っておいて自然に「新しいメディア」や「知の集積」ができるはずもないので、それをやりたいのであれば「運営がコントロール」するのは必然。是非が問われる、とかじゃなくて、そうせざるを得ない。それが当初の思想、「"みんな"が"みんな"へ発信するメディア」に矛盾するとしても、だ。

本当に「人気ページ」を見てもらう必要はあるのか

そういうわけで、偏りは好ましくないし運営サイドがコントロールしなきゃだめなんだろうとは思うのだけど、ただ個人的には「好ましくないが致命的ではない」と考えている。致命的でないというのは、放置していいということではなくて、他のことを優先したほうがいい、という程度の意味でだけど。何故かと言えば、そもそもSBMが「"みんな"から"みんな"へ」のメディアだなんて思ってないから。

そもそも構造的欠陥がなくて、スパマーは駆逐されていて、皆が冷静で賢明だったとして、それでじゃあ有益で面白い情報が効率的に集積されたかというと、きっとされないと思う。万人が選ぶ万人の為の情報なんて、当たり障りのない情報だけが集まるか、いろんな情報がバランス良く集まるか、どっちにせよ取り立てて面白くないだろうし、結局その「バランスのいい」情報の塊を自分でフィルタリングするはめになるだけだと思う。

つまるところ「人気ランキング」なんてのは、勝手に偏るか、集計者に都合のいい方向に偏るか、偏らないが故に意味を為さないか、どれかでしかない。だから然程重要だと思わない。いや、言い直そう。俺(もしくはあなた)にとって重要なものにすることはできるけど、みんなにとって等しく重要なものにはできない。「面白い」も「有益」も見る人によって価値が違うのだからそんなものだなぁと思うし、だから"みんな"から"みんな"へは無理があるんだと思う。

「みんな」じゃなくて「誰か」の言ってることを聞ければいい

他のCGM系のサービスを考えてみるといい。ブログを見るとき、そのブログサービスのランキングに上がってくるものを片端から読むか。SNSでフレンドが多い人の記事を片端から読むか。ミニブログでパブリックタイムラインを全部追うか。いやまぁ、「全部を見る」のが仕事だったり趣味だったりする人がぱっと何人か思い浮かぶには浮かぶけど…それはそれとして、普通は特定の気にいった人のブログを定期的に読むし、SNSでは身近な友人と慣れ合うし、ミニブログでは同じクラスタで固まるよな、と。

SBMもそれと同じで、「みんなが決めた人気の記事」を追うよりも、その分野では誰より鼻が効くあの方や、何故かいつも自分がブックマークする記事をブックマークしてるあの人や、毎回気の効いたコメントしてるあいつ、のリストに注目してた方がずっと面白い。その方が、人気はないけど凄く面白くて為になる記事に出会えたり、ブクマ数だけ多いけど全然興味がない記事にあたってしまう確立を下げたりできる。もちろんランキングや新着はそれはそれで面白い人には面白いんだけど(実際俺は増田も非モテもまとめブログもWebデザインもライフハックも割と好きだけど)、ニュースソースやネタの狩り場にするには精度が低すぎる。

つまるところ、SBMは"みんな"の意見・情報を集約して"みんな"に届けるシステムではなくて、"誰か"の意見・情報を"誰か"に届ける「個人から個人へ」のシステムなんだと思う。"みんな"の知識なんて、言われている程集約するものではない。集約させる機能は、あくまでSBMの一側面に過ぎなくて、現状はそれ以上に他の側面の方がより有益だろうと思う。

結局何が言いたいのかというと

ホッテントリが偏ってるって話は、ランキングが面白くないとか、運営が調整すべきかどうかとか、そういうことじゃなくて、他の面白い側面よりもランキング的なものの方に目が行きやすいから、いかにして他の側面をアピールできるか、ということの方が本当の課題だと思う。SBMでは必ずしも数字やランキングが、主軸ではないので。

例えばクリップはしばらく前からコメントを全面に押し出すようにして、ウォッチリスト(お気に入りリスト)の見栄えをミニブログのタイムライン風にしてみた。Buzzurlはグループで小規模なSBMとして使えるようなBuzzurl Plusというサービスを出していた。これも出たのはしばらく前だけど、「注釈」にフォーカスしたコモンズマーカーとかも面白い(SBMと言っていいのかは微妙だけど)。それから、はてブそうだけどクリップも、最近はレコメンデーションに結構力を入れてる。これは「みんなへ」じゃなくて「あなたへ」の方に力を入れたくてやってる。

つまりだね。みんなウォッチリスト/お気に入り活用してね、ってのと、ランキングばっかり見てないで他の面白い使い方見つけてくれると嬉しいな、言ってくれれば色々やるからさ、ってとこですかね。